
去年の末、トイレの洗浄ゼリーを誤って口に入れてしまう子どもたちが、大勢いることが報道されました。生活の変化に伴い、誤飲してしまう物も様変わりしています。
「子どもの誤飲」は増えているんですか。
宍倉: | 数自体はそれほど増えていませんが、身の回りに化学物質が増えているため、健康を害したり、命を落とす誤飲事故は増えています。 |
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子どもの誤飲事故で、一番多いものは何ですか。
宍倉: | 最新の2013年度調査では、調査開始以降トップを独走していた「たばこ」を追い抜き、「医薬品の誤飲」が最多となりました。お父さんやお母さんが薬を飲もうと机の上に用意して、お水を台所に取りに行った隙や、誤って床に落としてしまった時に、子どもが飲んでしまうことがあります。薬によっては早期の胃洗浄が必要です。2番目に多いのが「たばこ」です。小さな子どもでは「3分の1本」で致死量になります。 |
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その他、命に関わる物としては。
宍倉: |
種類や量によっては、様子を見ていても大丈夫な物もあります。しかし、絶対に取り出さなければならない物もあります。その筆頭が「ボタン電池」です。この「ボタン電池の誤飲」が、最近増えています。 ボタン電池は直径5ミリの小さな物もあり、誤飲するとほぼ百パーセント消化管穿孔(せんこう)を引き起こします。しかも、誤飲してから短時間で穴が空くため、翌朝まで待ってはいけません。疑いだけで十分です。直ちに救急車を呼んで、医療機関でレントゲン写真を取って確認してもらいましょう。不幸にも本当に飲み込んでいたら大変です。内視鏡や磁石のついた管を飲み込ませ、すぐに取り出さないと命が失われてしまいます。緊急手術をする事もあります。 子どものおもちゃの電池ケースのふたが、ねじ回しを使わないと開かないようネジ止めされているのは、電池の誤飲を防ぐためなのです。 しかし、困ったことに、最近の夜店で大人気の「光るおもちゃ」の中には、このボタン電池が必ずといってよいほど入っているのです。魚や亀の形をした透明なソフトビニールの中に、色とりどりのLEDが光り輝くこのおもちゃは、子どもたちに大人気。お祭りの夜店で、水槽に流れている光るおもちゃをお玉ですくい上げるものです。簡単に手に入ります。しかし、ちょっと乱暴に扱っただけで、外側のソフトビニールが簡単に破けてしまい、中のボタン電池が出てきてしまいます。 |
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いずれにしても、もし誤って飲み込んでしまった場合はどうしたらいいですか。
宍倉: | できるだけ早く医療機関を受診し、「いつ」「何を」「どのくらい」飲んでしまったのかを正確に医師に伝え、必要な処置を行ってもらいましょう。また、誤飲を防ぐために私たちができることは、常に「子どもが口に入れてしまうかもしれない」という意識を持って、小さなものを子どもの手の届かないところに置くということです。 |
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