医療現場からの提言

2013年

vol.12 自宅内での転倒に注意

最近、救急車の出動をよく目にするが。

宍倉:

1963年の消防法改正により、救急車による傷病者搬送が各自治体消防の任務として義務化され、ことしは50周年を迎えた。その間、出動件数や搬送車数は増加の一途をたどっており、65歳以上の高齢者の搬送件数の増加が課題の一つとなっている。

高齢者の救急搬送の実態は。

宍倉:

2010年現在の日本の高齢化率(人口における65歳以上の割合)は約22.5%だが、その人口の約5分の1強の高齢者が、救急搬送件数の半数以上(約51%)を占めている。高齢者の救急搬送は高齢化の進行より急激で、この10年間で高齢者人口は約40%増加したが、高齢者の救急搬送件数は2倍以上に増加した。消防では同期間で救急車の台数を11%増やすことで対応しているが、それでも間に合わず、119番通報から救急車が現場に到着するまでの時間は33%も延長している。

救急車の利用で軽症や中等症での搬送が多いと聞くが。

宍倉:

脳卒中や心筋梗塞(こうそく)、肺炎による搬送も増加しているが、意外に重症での搬送数はそれほど増えてはいない。先ほど「高齢者の救急搬送件数はこの10年で2倍以上に増加」と言ったが、重症での搬送数は35%しか増加していない。逆に中等症が2.2倍、軽症での搬送は2.6倍にも増加している。

高齢者の自宅内での外傷が増えているらしいが。

宍倉:

急病での搬送は全世代を通して増加しているが、外傷での搬送は、小児や成人で増えていないのに対し、高齢者で倍増している。中でも交通事故搬送は高齢者でも逆に減少しているが、家庭内での転倒による搬送が急増している。高齢者の転倒の特徴は小児や成人と異なり、基礎疾患として骨粗しょう症を有しているために骨折を起こしやすく、転倒をきっかけに寝たきりになる率も高くなっている。

高齢者の日々の注意点は。

宍倉:

加齢に伴う全身機能低下により、高齢者の病気・ケガは成人と比べ異なってきている。早期から脳卒中や心臓病の原因となる高血圧や糖尿病を防ぎ、骨粗しょう症の治療や転倒防止に必要な運動機能の維持・改善に努めることが必要。高齢者は特に、病気や事故が起こってからの治療では健康な状態を取り戻すことは難しく、成人以上に病気や事故を防ぐ「予防」が重要となる。病気や事故の予防については、かかりつけ医によく相談して。

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