医療現場からの提言

2013年

vol.09 未受診妊婦の問題点

未受診妊婦の問題点は。

金田:

妊娠中は定期的な健診と検査をして母児の健康管理をおこなっていきます。未受診妊婦の場合、健診も検査も受けていないため、母児の健康状態も不明で、分娩時のリスクが非常に高くなります。

具体的には。

金田:

大阪府の実態調査では2012年に府内で発生した307件の事例について分析して、母体合併症が28%、出生児に影響をおよぼす母体感染が12.7%、産後の合併症が5.5%、周産期※死亡率が19.5(1000対)と、一般妊婦に比べ周産期の合併症が非常に高いことを報告しています。※周産期=妊娠22週から出産後7日までの期間をいう。

県ではどうか。

金田:

県でも7年前から分娩取扱医療機関に対してアンケート調査を開始し、昨年度は41件の報告を得ました。見えてきた実態とは、未受診妊婦は、未成年・初産の割合が高いこと。経産婦では、多産で前回出産時も未受診で飛び込み分娩をしているような確信犯的な例が複数報告されていました。

未受診の理由は。

金田:

ほとんどの人が経済的理由をあげています。その上で、相談する人がいなかった、妊娠に気付くのが遅かった、望まない妊娠だったなどの理由をあげています。2009年度から、妊婦健診に対する公費負担が14回に拡充され、健診に伴う妊婦の経済的負担はかなり軽減されているはずですが、未受診妊婦の多くは母子手帳を取得していないため、公費負担についての知識がないのかもしれません。

公費負担の拡充効果は。

金田:

公費負担の拡充に伴って、妊娠の早期に妊娠の届出をする人が増え、同年度からは90%以上の人が妊娠11週までに母子手帳を取得しています。しかし、28週以降または分娩後に母子手帳を取得する人の割合は0.7%(約400件)のままで、減少しておらず、これらはほとんど未受診妊婦と推測されます。いかに早い時期に掘り起こすかがこれからの課題だと思います。

妊娠には複雑な場合もあるが。

金田:

望まない妊娠の場合、経済的な問題だけでなく、出産後の育児不安・育児拒否・虐待などの問題が生じる可能性があり、妊娠・出産・育児にいたる継続的な相談窓口や支援が必要だと思われます。

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